ぼくの家族は読書が大好きです。いろいろな本を今まで読んできたけど、「環境」というと椋鳩十の作品が頭に浮かびます。
たとえば、ゴミ問題を考えた時、「におい山脈」という作品を思い出します。人間が勝手にゴミを思いつくままに捨ててしまい、最後には住む所がなくなる話です。自然とひっそり住んでいたインディオだけが助かるのですが、地球の近い将来のように思えます。
緑ということを考えた時も、人工的な植林で、そこに動物と植物が共生できないのだったら、もう本当の意味で自然と言えないということも作品から考えることができました。
緑があれば良いというものではないようです。新聞にも、人工的な緑を残すのではなく自然のままの、その土地にあった緑を残そうとしている自治体の記事が載っていて、その記事を読むだけだと難しかったけど、母がヒントをくれたので、ぼくが読んだ作品を思い出して、考えることができました。
一番心に残っているのは「屋久島」です。屋久島ー世界遺産条約に登録された島。樹齢七千年の縄文杉を筆頭に二千年以上生きている杉がたくさんあって、一見というか、屋久島は、緑豊かな、環境破壊とは緑のない島と思いがちです。しかし、島にも自然破壊という魔の手がしのび寄っていたのです。科学の進歩にともなって、戦後の経済優先主義が、大切な杉を切り出し、そして、そのことが動物の生態系をも狂わせてしまうのです。島民は、自然破壊の害に気付き、一生懸命自然を守る運動をし、植物の伐採反対を訴え、そのことも世界的に評価されて、屋久島は一九九三年に世界遺産条約の自然遺産となります。一つ残念なのは、この本が書かれているのは三十年も前のことなのです。三十年前といえば、ちょうど僕たちの親が子ども、それもいろいろな事を考えられる中学生くらいの年なのです。しかし、今ほど、環境問題は語られることなく、たった四半世紀で、これほど環境破壊が進むことすら考えられていないのです。せっかく、将来について警告している内容の本があっても、深く読みとられないなんてもったいない気がします。
今年、子どもの読書推進について法律ができました。環境や自然を守るという大それたことは、一人一人の一歩からだけど、思いつきではできません。そこに住んでいる動物や植物を考え、そこに住む人々の暮らしを思いやり、初めて行動できると思います。環境問題だけについて書かれた本は、とっつきにくいと思うけど、童話は、読み始めやすいです。 思わず、自分が本に入りこんでいる時もあります。楽しく読みながら、環境のことも学べ、自分がどう行動したらよいか考えられるところまで本を読むことができたら、とてもすばらしい事だと思います。親子で、本や環境について語り合い明るい将来を作りたいです。
2002年 環境大臣賞(小学生部門)
山口県 小学校6年 大矢恪