2002年度地球こどもクラブ賞(小学生部門)〜カラスが笑う

「なぜ、このごろ鳥が来ないのかなぁ。」

私の家の庭には、一本のみかんの木があります。季節によって、あげはの幼虫がいたり、実を小鳥がついばんだり、年中にぎやかなスポットです。ちょうど裏のあき地のむこうが神社なのでそこの大きな木々にも小鳥があつまってくるのです。秋に木の葉を落としたその木々は、トトロがすわっていそうなふんい気があります。これらの神社や庭の木の下で私は六年生になりました。そして気づいたのです。みかんの木を訪れる小鳥が少ないことに。朝夕、小鳥の声がきこえないことに。

「デ、デ、ポッポー」

いちばん好きな山ばとの声もありません。いるのは、きこえるのは、カーカーという黒い姿。そうか、カラスのせいで、小鳥たちがいなくなったのか・・・と気づきました。

そして、以前見た、明治神宮の光景を思い出しました。姉と私は、お宮参りや七五三など何かの節目には、明治神宮に行きました。参道にいるハトが楽しみでした。ところが、その参道にカラスがたくさんいて、ハトの姿が少ないのです。七歳の時でした。

どうして、いつのまにかカラスがこんなに増えたのでしょう。調べてみると、カラスは現在東京そその近郊で三万羽が生息していると確認されているそうです。減り続ける鳥や動物のなかで、何の保護もなしに増え続けている数少ない生き物のひとつです。

都会でカラスが増えた大きな原因は、実は人間なのです。エサとなる生ゴミが大好きなのですから。でも、それだけならカラスは増えません。人が、ゴミをちゃんと捨てるべき所に捨て、ゴミを出す時刻と場所を守っていれば、カラスにつけこまれることはないのです。食べ物の残りをその辺にポイ。前の日から平気でゴミを出す。夜おそいお店が、生ゴミを外に積む。・・・こういう事のくり返しと積み重ねが、カラスを増やしたのです。つまり、人間がいいかげんな、そしてムダの多い生活がまねいたのです。

地球環境をどうこういう前に、自分の身近のゴミひとつちゃんと扱えない人間の、日本人の意識の低さ、マナーの悪さ・・・なさけなくなります。そういえば、富士山が世界遺産に選ばれなかったのは、ゴミのせいだとききました。

たかが、一件のゴミ、一片のゴミ。でもそれが、カラスを招き、他の生き物を追いやっているのです。まちがいなく環境破壊です。

まず、ひとりひとりが、一件一件が、ゴミのことを考えて、マナーを守ることです。カラスの天下にしないために。カラスにわらわれないために。

そして、地球のために。

2002年 地球こどもクラブ賞(小学生部門)
千葉県 小学校6年 小林 圭