2003年度環境大臣賞(中学生部門)〜食から考えた環境

昨年、高円宮殿下が、ハイブリッドカーと電気自動車の例をお話しされながら、「環境問題は、ちょっと考えただけでは必ずしも本質がわからない場合もある」とおっしゃったことが、ずっと心に残っていました。僕も、百円ショップや使い捨て商品が多くなる中、経済優先か環境優先かと考えさせられることが多くなってきていました。そんなある日、バイキング方式の食事で、たくさん物を取り過ぎてしまって困ってしまったという事件が起きました。その時、いろいろなことを考えていたら、食と環境が深い関係にあることに気付いたのです。

先ず、当然、食べ残すということは、余分なゴミを出すということになります。そのゴミは、土に帰されるのではなく、焼却されるのだろうから、ゴミ処理ということで、無駄なエネルギーを使わなければなりません。

食材自体を考えてみた時、その食材が出来るまでに既に多くのエネルギーを使っている事に気付きます。ハウス栽培野菜、加工品、養殖ものなど、店に仕入れられる前に既にエネルギーを使い、店で調理される時点でエネルギーを使っているのです。それを捨てなければならないということは、エネルギーの二重、三重の無駄使いになってしまうのです。

食材となるまで使うのはエネルギーだけでなく、水や肥料、土や、他の生物の命まであります。牛肉一キログラムのために飼料として穀物二十キログラムいるということには、本当に驚いてしまいました。エビは、日本でとれると思っていましたが、実際は大量に輸入されているのです。エビの原産国では、日本へ輸出のため、生態系がくずれてしまっているそうです。

日本だけでなく、他国の環境を破壊しながら僕たちは生かせていただいているということを僕たち若者は、よく考えなければならないと、目の前のピザと格闘しながら考えたのでした。結局、僕たち家族は、頑張って全部食べましたが、日頃、環境について考えて、出来る事は実践しているつもりでも、一歩間違うと環境を大きく破壊する位置にいることが分かり、まだまだ学ぶことは多いと反省しました。

カップめんが好きでよく買っていたのですが、便利さのみを考えていたことが恥ずかしいです。また、輸入牛の安さにしか目がいかず、必要な量よりもたくさん買って、たくさん食べている現実も、考え直さなければなりません。のどがかわけば、目の前に自販機があり、好きな時に買うことができます。今まで食から環境を考える時、その食材の容器が環境破壊につながることしか考えていなかったことは、残念だけど、人間にとって絶対に必要な食を通して環境を考えられるということに気付けて良かったです。必要なものだからこそ、自分で生き方を選べると思うから。

2003年 環境大臣賞(中学生部門)
山口県 中学校3年 大矢 透