2004年度優秀賞(小学生部門)〜地球の手助け

「華歩ちゃん、いっしょに水やりしましょう。かえるが遊びに来てるわよ。」

植物が大好きな私のお母さんは、毎日のように私を庭にさそいます。私も、自分がタネまきをした植物が生長していく様子を見るのは、とても楽しみです。

今、私の家の庭は、春の花や若葉につつまれています。その中でも、私が一番大切に思っている物が、ハカラメという植物です。これは、花をつける事がなく、葉だけがしげる地味な植物に見えます。けれど、実は、すばらしいまほうを持っている植物なのです。ハカラメは、まっすぐにのびたくきにふた葉のような緑色の丸い葉をつけていきます。その葉を一枚しめった土の上に置いておくだけで、数週間後には、葉の周りの切れ目から白い根をのばし、次には、ふた子の葉をのばしてきます。切れ目の数だけ、子供のなえを作り出すのです。少しの水か、しめった空気があればどんどんと仲間を増やします。ふしぎで、たくましい植物です。私は、このなえを友人にあげたり育てるのが、ゆかいでなりません。

そして、元気なハカラメのまほうを見ていると、地球に広がるさばくにこんな力のある植物が植えられればなあと思います。
 
本やテレビ番組の中で、今、地球にはさばくに変わっていく土地がふえていると知りました。その原いんは、ほとんどが人間だそうです。人口がふえすぎて、たきぎや家の材料に若い木まで切ってしまうせいだと言われています。私は、森林が消えていったり、さばくのすなにうずめられていった村を見ると、心がいたくなります。そこに生き続けていた植物たちのなき声が聞こえてくるようです。人間は、自分たちの住まいの地球を自分たち自身でつぶしているのだなあと感じます。それは、人間にとって、さびしい結果になるはずです。

私は、まだ小さく、さばくに行って、木を植えたり、木のために井戸を掘ったりはできません。でも、ハカラメのような一度にいくつものなえをふやす植物を見つけたり、育てたりする事はできます。そして、一人一人身の周りの植物を守るのが大事だと気づかされました。きっと、だれもが自然を守り、植物の深い緑色につつまれる地球を見るのは、幸せな気分でしょう。

今日も、私は、

「ハカラメさん、元気ですか。地球にまほうをかけ続けてくださいね。」

と、そっと声をかけました。その後、いつものようにお母さんに、

「水やりしますよ。」

とさそわれると、私は、地球全体の手助けをしているようで、いそいそと庭へ走ります。

2004年 優秀賞(小学生部門)
千葉県 小学校4年 岡田 華歩