「こらぁ!コンセントを抜くぞ。」ぼくたち兄弟三人がなかなかテレビゲームを止めないので、お父さんが怒った。プチっと音がしてテレビが消えた。去年の春の事だ。その日からぼくたちは、テレビのある部屋で食事をするのをやめ、テレビのない食堂で食べることになった。その時、お父さんが「待機電力って知っているか」と言った。初めて聞く言葉だった。テレビはリモコンでスイッチを切っても、わずかな電力が流れている。次にスイッチを入れた時、すぐに画面が出てきて便利だからだ。でも、そのために使わなくていい電気がいつも一・五ワット流れている。電力会社の人に聞いたら、何と家庭で使う電気の約一割が待機電力だ、ということがわかった。それがわかった時、お母さんは言った。「もしかしたら電気料が一割うくかも。」
でも、ぼくは思った。「もしかしたら二酸化炭素が一割減るかも。地球温暖化が防げるぞ。」ぼくはさっそく行動することにした。
まず、ぼくは待機電力が何処にあるのかを見つけることにしたけれど、よくわからなかった。そしたらお父さんが「夜、部屋を暗くすればわかるよ。」と言った。夜、部屋をまっ暗にしたら、あった、あった、待機電力が。ビデオやミニコンポには時計の表示が、パソコンには電気がきている印の電池マークが、そして台所ではすい飯器の予約タイマーがほのかに明るく光っていた。ぼくたちは、テレビやビデオを見ない時は、コンセントを抜く事にした。どのコンセントを抜くとどの電源が切れるのかすぐわかるように、コンセントに何の電源かをマジックで書いた。お母さんは、すい飯器のタイマー予約を止め、朝ちょっと早起きしてスイッチを入れることにした。ぼくの家で使う電気は毎月五〇〇~六〇〇キロワット時、それが五〇〇キロワット時を切る月も出てきた。わが家で、かなり徹底して節約できた待機電力は、一ヶ月だいたい二〇~三〇キロワット時。日本には家が四千六百万世帯あるから、みんなで実行すればだいたい一五〇億キロワット時の節約になる。
「スイッチを切ろう!」去年の春から、これがわが家の合言葉だ。スイッチを切ることは、環境にやさしい行動だ。でも、もっといいことがある。テレビのない部屋で、みんなでご飯を食べたら、部屋が笑い声でいっぱいになった。エアコンを切ると、暑くて汗が出るけど、その分、自然の風がとっても気持ちいい。電子レンジの焼きいもより、落ち葉の焼きいもの方が、黒こげでも最高にうまい。テレビゲームより公園で遊ぶ方が友だちがたくさんできた。
地球にやさしくしたら、ぼくも地球からたくさんの宝物をもらった気がする。さあ、みんなも思いきって「スイッチを切ろう!」
長野県 小学校6年生 野池 傑