2006年度高円宮賞(中学生部門)〜地球の自然を復活できる日を夢みて

私の学校は、昨年校舎屋上を、芝生と季節の花々で緑化しました。ヒートアイランド対策としてです。私は入学してすぐ、生徒会の環境委員になりました。屋上緑化を管理できるからです。まだ実際、草むしりはできません。でも先週、屋上に入り、甘い花のにおいに満たされた時、緑がこんなにも豊かな気持ちにさせてくれるものかと、しみじみ思いました。植物には、地球環境ばかりではなく、人の心を和ませる力があると改めて感じました。

私の住む千代田区は、日中百万人近くの人が集まる都会です。日比谷公園や皇居周辺に緑があります。しかし、多くはビル街で自然とはほど遠い地域だと思ってきました。しかし、私の通う中学校のように緑を復活させようとさえすれば、緑はいつでも身近に感じられるのだとわかりました。

中学校ばかりではありません。我が家には、今年も四月にツバメがやって来て、巣をかけました。八階建てマンションの四階のベランダ脇の、わずかなすきまに、うまく巣をつくるのです。しかし、マンションに住む友だちのだれひとり、ツバメが来る家はありません。それは、我が家には鳥が来る理由があったからです。

数年前、兄がたまたま朝早く起きた時、小鳥たちが花壇に集まって、砂や土を羽にかけて遊んでいるのを見かけました。

 「ねぇ、お父さん。鳥が遊んでいるよ。」

私たちは、驚いて跳ね起きました。都会に鳥がいるのが信じられなかったのです。そして、カーテンごしにのぞいてみました。人にとっての花壇が、鳥にとって遊び場になっていました。そして、鳥から人に近づいて来てくれていることが、うれしくなりました。家族で話し合っているうちに、「じゃあ、鳥の生活を大事に考えて住み直してみようか。」ということになりました。

こうして、我が家は、「花壇・ベランダ大改造」を始めることになりました。花壇には、鳥も食べやすい野菜を植えることにしました。にんじん、大根、さと芋、さつま芋を植えました。ベランダには、一面土を敷き詰め、幼稚園の頃始めたバケツ稲をバケツから出し、小学校で育てたお米から出来た苗を加えて植えてみました。すると、春から夏にかけて緑が増し、秋には以前より遙かに重そうな穂がたくさんなりました。また、朝訪れるひよ鳥やすずめの数が、かなり増えました。さらに、蝶やてんとう虫まで来るようになりました。私は思いました。緑は、自然を人間に近づけてくれると。そして、自然の循環をもたらしてくれると。

環境委員一年生の私は、これからは、学校の屋上緑化の草むしりをしていこうと思っています。小鳥たちと話しながら。小さな努力から、地球の自然を復活できる日を夢みて。

2006年 高円宮賞(中学生部門)
東京都 中学1年  岡部 達美