私の家の前には一本の大きな楠木がある。地面にしっかりと根を張り、いっぱい緑色の葉を空高く延ばしている。私はそのような木を見ると心が落ち着き、暑い日には涼しさを感じさせてくれる。緑はどんな恵みを私達に与えてくれているのか。調べてみることにした。まず暑い日涼感を感じさせてくれることから本当に気温・湿度に違いがでるのか調べてみた。ベランダに草花が植えられたプランタを三つ置き、その横に温度計と湿度計を置く。その観測を二週間近く続けた。プランタを置いていない時よりも置いた時の方が温度が二~三度下がり、湿度は五~六%上がった。よくこの差が見られたのは真夏日の時だ。この結果は、プランタの土の中の水分が打ち水効果を保ったため湿度を上がらせて気温は、下がっていたと考えられる。次は、環境の問題だ。CO2(二酸化炭素)を減らす働きが緑にあると注目されている。私はCO2同様環境はないにつながっている二酸化窒素(NO2)という物質が緑で減らせるのか調べてみることにした。目黒区役所の環境保全課い行ってNO2採集カプセルを五つ借りてきた。一つは自宅ベランダ(空調機有り)自宅(港区青山の集合住宅)のエントランス、家の前の楠木(樹齢六十年)、家の近くのみゆき通り、家の前の電柱の地面から1メートル上に設置した。二十四時間後、これをトリエタノールアミン溶液を使ってカプセルの中のNO2濃度を測った。みゆき通りは交通量の多いせいか濃度が高0.0356ppm。次にベランダで0.0351ppm。空調機のせいか少し高めだ。家の前の電柱は緑が多いからやや濃度は低い0.0251ppm。エントランスは0.0156ppm。なんと楠木があるところでは0.015ppmと数値が低くみゆき通りの半分以下だ。この結果から楠木はNO2もCO2も同様減らせることが分かった。この色々な働きのある緑の保護への人々の思いはある一つに力になった。
私が幼稚園児の時ビルを建てるために桜の木を切る計画があったが住民運動により桜の木を移転したのだった。私の住む港区では、「緑を守る条例」を制定し、壁面緑化や屋上緑化の推進に努めている。そのため緑は私の周りにあり楽しませてくれる。この港区には樹齢七百年の善福寺の逆さイチョウ、将軍徳川家光手植えの芝東照宮のイチョウ、旧細川邸の椎(樹齢約三百年)芝公園の椎や増上寺の榧(樹齢六百年)などの古木がありどれも樹齢数百年以上で、歴史的にも重要な木々で人々に保存されている。
樹齢七百年の木はどっしりとしていて歴史の全てを見てきたと語るようだった。私はこの木の前に立ち、緑の偉大さを感じながら、緑の保全、植林、緑の良さを生かすことが今から、そして未来の私達に課せられた宿題だと思う。
2006年 優秀賞(小学生部門)
東京都 小学校6年 成田 佳奈香