2007年度高円宮賞(小学生部門)〜きれいな海を願って

わたしのおじいちゃんは漁師です。海が荒れていないとき以外は、ほとんど漁に出ています。春はかつお、夏はいせえび、あわび、秋はひらまさ、冬はひらめと、たくさんの魚介類を持ってきます。おじいちゃんの漁場は岩和田沖です。

少し前、漁から帰ってきたおじいちゃんは、「今日はまいったよ。船が止まってしまったんだ。おかしいと思ってプロペラを見たらなんと大きなマットがまきついていたんだよ。これがこわれたら、おれの仕事はお手上げだ。」となげいていました。聞いてみると、まだ他にもたくさんあるそうです。
この辺の海は、サーファーが一年中来るし、夏の海水浴の人たちが大勢くるからゴミがでるのかなあと思いました。また、おじいちゃんは、夕飯のとき採ってきた魚を食べながら 「むかしはもっと魚がとれたのに、このごろは減ってきたなあ。ふえているのは、海にあるゴミだけだ。ひろってもひろっても減らないなあ。」 といったこともあります。わたしはおじいちゃんの話を「ふうーん。」と聞いているだけでした。

ある日、おじいちゃんが袋を持って  「桃代、ちょっといっしょに行こう。」とさそわれました。そこは、私が小さいころからの遊び場である小波月海岸でした。「あっそうか、ごみをひろうんだ。」と思いました。岩と岩の間の小さなごみをひろっていると、そばに来て 「森は海の恋人といってね。秋になって葉が落ちてその上に雨がふると海に流れてくる水が海そうや貝のえさになるんだよ。海を守るには、森を大切にしなくてはいけないんだ。」と話してくれました。私は、岩和田の山がとっても大切なんだ。でも恋人というのもおもしろいなあ。」と思いました。また、 「十五年位前に、この山の上にゴルフ場建設の話があったんだ。おれたち漁師はみんなで反対したんだ。町中の人たちも『岩和田の海を守れ。』と反対してくれたんだ。長いこと話し合って、おれたちは、この海を守ることに成功したんだよ。うれしかったなあ。」と、昔を思い出すように、遠い海をながめて言いました。おじいちゃんは地球温だん化の話もしてくれました。いつの間にかゴミ袋もいっぱいになり、次の袋をとりに行きました。全部で五袋ににもなり、あらためてゴミの多さにびっくりしてしまいました。

おじいちゃんの話を聞いたり、ゴミひろいをして思ったことは、漁師にとって「海は命なんだ」ということです。きれいな海があってこそ、おじいちゃんは仕事ができるのです。魚や貝がたくさん採れるこの海をよごさないことが大切だと思いました。

2007年 高円宮賞(小学生部門)
千葉県 小学校5年 吉野桃代