2008年度特別賞(小学生部門)〜虫が生きている大地

去年の夏の初め、目が痛いほど強い太陽が、すっと延びるソムジン江の上を照らし、青い色と銀色のような穏やかな波を見ながら私たち家族は祖父の家に向かった。我が国で一番澄んでいてきれいだというソムジン江のほとりに住んでいる祖父の家に向かう道は私がわくわくするのに十分だった。

私たちが到着する時間に合わせて、前もって出てきて待っていてくれた祖母に向かって、我先に抱っこされようと弟と私は走り出した。祖母は、

「うちの子犬ちゃんたちが着たら食べさせようとおいしいものを作っておいたよ。」

と言った。今日もやはり私たちは祖母のかわいい子犬ちゃんになってしまった。

次の日、お誕生日だから1日くらい休んで下さい、という父の説得にもかかわらず唐辛子畑に行く祖父について畑に出た。ところが急に祖父はポケットから眼鏡を出してかけた。それから唐辛子の葉の表裏を調べながら虫をわざわざ捕まえた。

「大変なのにどうしてそんな風にするんですか。年も年なんだから楽にして暮らして下さい。」

父の心配そうな姿に祖父は言葉をつづけた。

「そんなこと言うな。こんな普通に見える唐辛子が都市へ売られるときにいい値段で売ろうとしたら農薬を13,4回使わなくてはいけないんだよ。だけどそれはとても愚かな考えだろう。結局はその唐辛子が回りまわって自分の口に、自分の家族の口に入ってくることもあるんだということをみんな知らないんだ。お前も子供たちと一緒に外食するだろう。その時その食堂で使う唐辛子を考えてみなさい。私は農業に従事する者として農薬がどれほど土地を痛めて人間を死に追いやるのかを毎年感じているんだ。だから私だけでも、私の子供たちが食べるうちの唐辛子だけは使命感を持って作っているんだよ。そうすればこの子たちがお前くらいの年になってこの唐辛子畑を裸足で歩いても何の問題もないだろう。土地は永遠に私のものではないんだよ。私がしばらく借りて使って子孫に譲り渡さなくちゃいけないんだ。」

話をする間ずっと唐辛子の葉の虫を調べていた祖父は、わかったかというように初めて首をあげ、父と私たちをかわるがわる眺め、軽い笑みを浮かべた。やせ細って骨ばった両肩を見せている力ない祖父の言葉は私たちをしばらく厳かな気持ちにした。

さらに1日過ごしてソウルに帰ってくる車のトランクにはいつのまにか使命感と責任感で栽培した祖父母の真心こもった農産物でいっぱいだった。

2008年 特別賞(小学生部門)
韓国 小学校6年 イ・ヒョギョン