地球こどもクラブ賞(中学生部門)
『アカウミガメの今』

静岡県

西遠女子学園中学校2年生

和久田 琴音/Kotone Wakuda

 

ある夏休みの日、母がちらしを一枚持ってきました。そこにはアカウミガメの放流体験をしてみませんかと書いてありました。私はおもしろそうだったので参加してみました。

アカウミガメの放流体験をやっている団体は、「サンクチュアリジャパン」という団体でした。その団体ができたのは、環境を開発計画から守ろうと起こした市民運動が始まりでした。サンクチュアリジャパンでは野生生物の保護と併せ自然観察会や体験教室、ウミガメ講座、写真展の開催などや子供達を対象としたジュニアレンジャー制度を発足させ環境教育にも力を入れています。

私が放流したアカウミガメは、世界の大洋に広く分布するウミガメで本州、四国、九州沖縄の海岸線が北太平洋唯一の産卵場で五月から八月に産卵する背面の色は褐色で、腹面は淡黄色で、頭部が大きいのが特徴です。海底の貝や甲殻類を食べます。今、アカウミガメが絶滅の危機にあります。

なぜアカウミガメが絶滅の危機になっているのでしょうか?それと同時になぜ人が卵を保護し、ふ化させ人の手によって放流するのでしょうか?私は、そのようなよけいなことはせず、自然のままにしておけばいいと思いました。しかし、今の海岸ではそうしておけない理由が大きく分けて四つあります。

一つ目は、産卵する場所がなくなってしまったことです。埋め立てや開拓のために砂浜が削られたり、コンクリートで固められたりテトラポットが置かれたりして、産卵に適する場所がなくなってきました。また、海岸に乗り入れられた車により、砂浜の幅が固められて低くなり、水没する部分が増えて、砂浜の幅が狭くなってきてもいます。

二つ目は、卵や子ガメを盗掘する人がいます。絶滅危惧種、天然記念物、とは言ってもそれを売買するのは禁止されていないので、珍しいウミガメの子供や卵は高値で取引されるそうです。

三つ目は、人工の光に惑わされて、子ガメが海に帰れないことです。子ガメは海が反射する紫外線を目印にして海に向かっていきます。ところが今、陸地は人工照明に満ち溢れているため子ガメ達はその光に惑わされ、海へ帰れなくなっています。

四つ目は、海岸に乗り入れた車両による弊害です。レジャーのために砂浜に乗り入れた車が砂の中の卵をつぶしたり、レジャーに来た人が捨てて行ったゴミにより、進路を遮られ海に帰れなくなってしまいます。

私は、この体験をして、もっと地球のことを考えなければいけないと思いました。この体験をした翌年にサンクチュアリジャパンがやっているゴミ拾いに参加しました。一つでも多くゴミを拾いウミガメが産卵しやすい場所になってほしいと思いました。これからもこのような活動に参加していきたいです。