最近よくテレビや新聞などで、地球環境の問題がテーマとなっているものを目にする。世の中にはたくさんの地球環境の問題があふれているそうだ。国際会議が開かれても幾度となく失敗に終わっている。一度や二度の会議で解決出来るほど簡単な問題でないようだ。
しかし、いくら小泉さんが会議に行っても、それは私の知らないところで行われた会議であって、全く身近でないことだ。私は小学校の時に総合の時間で絶滅していく動物について調べたこともあったし、家で酸性雨の実験もしたこともあったし、温暖化についてのビデオも見たことがあった。しかし、私はそういう体験をしたとき知識として頭に取り込んでみてはいたが、体当たりで自分の頭で考えることはなかった。それは、自分自身はその問題で困ったり被害にあったりしたことがなかったからだ。
しかし、こんな私にも大きな出来事がおこった。昨年、日本中を荒らしていった台風だ。そのとき私の家でも事件が起こったのだ。それは家に出入り出来なくなる、という事件だ。なぜそんなことになったのかというと家の前の道路が水につかってしまったからだ。幸い、うちの家自体は、道路より少し高めの位置につくられていたので浸水はまぬがれたが、出掛けていた私は他人の家を通らせてもらってやっと自宅にたどりついたし、庭の低いところにあったものは水に流されてしまった。
しかし、ここで疑問が残った。今までも台風がきたことはあったのに、なぜ今回だけここまで水浸しになったのかだ。
それは私の家の隣の用水路にカギがあった。今回、用水路から水があふれでて事件になったからだ。実はこの用水路、今までは土でできた用水路であった。その頃は小魚やヤゴがたくさんいて、彼らの住み家の水草も水中で踊っていたそうだ。しかし、私がこの家に引っ越して来る前にコンクリートでかためられてしまった。その頃から小魚たちは姿を消してしまった。今思えば、それは小魚たちの警告だったのかもしれない。しかし、私たちはそれを無視した。土や水草がキャッチしてくれていた台風で運ばれたゴミはコンクリートを素通りしていっきに用水路の水量調節機を詰まらせた。そして道路は行き場のなくなった水たちでうめつくされたのだ。
この事件を体験して、私ははじめて自然が破壊されているという問題に体当たりでぶつかった気がした。いや、今までもぶつかっていたのにそれは、自分と遠いところの出来事だと思い込み目を背けてきたのだと思う。私は今回自分が困ってみることで、今の問題にやっと気付くことが出来たのだ。一回の体験は百回の地球環境の本を読むより、私に地球の自然を守る大切さを教えてくれた。私はこの最悪だった台風の体験を貴重な体験として忘れないでいきたいと思う。
2005年 審査委員長賞(中学生部門)
三重県 3年生 岩中 広美