昨年夏、愛知県で開催されたエコサミットに参加した私は、そこで一人の少年と出逢いました。ネパール来たマンディと云う少年は、「ぼく達の水は、レクレーションの水ではない、生きるための水である」と私達に強く訴えて来ました。日本の様に水道がなく、何キロも歩いて井戸へ水をくみに行き、一時間並んでも四リットルの水しかもらえません。日本は雨イコール水に恵まれた国ですが、参加国の約三分の一は恵まれません。水と云うと「飲んでいる」イメージが大きいですが、米や野菜・家畜を育てるのに必要な「バーチャルウォーター」にも多くの水が必要です。又、少年は、水不足のため衛生状況が悪く四人に一人は病気であると言います。トイレの後、手を洗う習慣だけで命を救うと言われています。私達も風邪予防のため手洗い、うがいをと注意されます。いつも面倒くさいと思いながら簡単にすませがちでしたが、薬など買えない人々にとって手を洗う事がどれほど重要で、水は生死に関わる大切な物だと云う事を改めて認識する事となりました。
少年は、これらの現状と近年、湖の面積が減少しているのにも関わらず、家庭・工場からの汚水で飲み水に適さない水質となった事を機に、自らプロジェクトを作ります。そして人々に呼び掛けグループを結成させ、やがては政府を動かし法律により汚染防止を強化するまで発展させました。貧困で認識不足だった国も教育により人々の考え方は変えられると私達に教えてくれました。
サミットには少年の他、六十ヶ国から約六百人が集まっていました。どの国の人達も自分達のプロジェクトに取り組み、環境問題と真正面から向き合う姿に同世代の人達とは思えぬほど大きく、又、たくましく見えました。
日本は本当に恵まれた国です。食べ残しても、水を出しっ放しにしても明日の生活にさほど、影響はありません。しかし、同じ地球上に明日の生活さえままならない人達がいて、環境の影響を一番受けるのがその人達である事を忘れてはいけません。五十年後の世界を造るのは今の私達子供です。良くも悪くも私達次第である事を知り、世界中で自分達だその土地で一人ひとりがエコライフに努め、地球環境を考える事は貧しい国の人々を救う事にもつながります。そして私が今一番しなければならない事は、この現状を多くの人に認識してもらい、地球を救うために皆の手助けが必要である事を伝え、又、あの時少年達ともっと交流を深めたかったけれど、語学力の無さに悔しい思いをした事を忘れず学業に専念し、近い将来、少年らと共にプロジェクトを一緒に実行する目標に向かって努力する事だと思いました。自分の生まれた環境に感謝し、その幸福を他の人や社会に貢献できる人になれる様、私は行動して行こうと心に決めました。
2006年 優秀賞(中学生部門)
大阪府 中学校1年 崎津 舞香